どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北2018さんりく巡礼 / <報告記29>-釜石市②-鵜住居復興スタジアム

-No.2029-
★2018年04月12日(金曜日)
★11.3.11フクシマから → 2955日
★ オリンピックTOKYOまで →  469日
★旧暦3月8日、上弦へ1日
(月齢7.1、月出10:09、月没....:....)









◆いよいよラグビー「2019ワールドカップ日本大会」のキックオフが近づいてきた

 その試合会場で、唯一の新設施設、2018年7月に完成したばかりの「釜石鵜住居復興スタジアム」。
 鵜住居駅からも近い、そこは、あの大津波で全壊した鵜住居小・釜石東中学校の跡地。

 (あの日、生徒たちは手をつなぎ励ましあって高台に避難して、全員600名近くが無事、鵜住居では死者が住民の半数を超えた、にもかかわらず…というので、のちに〝釜石の奇跡〟と讃えられた)

 被災直後の現地を見た者にとっては、まさに、津波に攫われ尽してナニもなかったところに…「突如、出現したコロシアム」であった。
 〝奇跡の釜石〟よ「もういちど」である。

 スタンドに立つと、その「原初スポーツはこうして生まれた」ふんいきが匂い立つようだった。
 その日も、スタジアム見学のイベントが行われていて、スタンドのあちらこちらに人々の姿が見え、グラウンドでは子どもたちがラグビーボールの感触をたしかめていた。

 そうなのだ…とぼくは想う。
 戦後すぐ生まれのぼくたちの時代、小学校の運動用具にラグビーボールなどはなくて、ようやくその楕円ボールの意味とおもしろさを知ったのは高校生になってからだった。

 肉弾・巨漢が幅をきかせるラグビー、みずからプレーするチャンスはついになかった、けれども。
 その、ひたすら<ひたむき>のスポーツマン魂には、いたくシビレ…いまもシビレつづけている。
 
 「鉄と魚のまち」釜石は、もうひとつ、いうまでもないラグビーの「聖地」だ。
 かつて1978~85年に日本選手権7連覇を達成した、あの松尾雄治がいた新日鉄釜石。地元にはいまも、ラグビーの「いいプレー」に詳しいファンが少なくない。

 そんなかつての新日鉄釜石ラグビーに育てられたOBたち、プロップの石山次郎やフランカー高橋博行らが、NPO法人スクラム釜石」を結成したのが、《11.3.11》後の11年5月。

 そうして
 その夏には、釜石市長に8年後ラグビーワールドカップを釜石でもやりたい、と提案。
 14年7月には、これをうけて釜石市ラグビーワールドカップの開催地に立候補。
 翌15年、組織委員会が1月視察の後、春3月には開催都市に選出。
 17年春、スタジアム建設に着工。

 しかし、そんな釜石ですら、地元民すべてがもろ手を挙げて賛成してくれたわけではない。
「ほかにカネをかけるべきことはイッパイあるだろさ」
 スタジアムの総工費は約39億円、うち約8億円を岩手県釜石市で負担する。
 それも、たしかに重い現実だ。

 それでも、新日鉄ラガーOBたちには、釜石への熱い想いがあり。
 震災後すぐに支援物資を積んで釜石入りした石山は、スタジアム建築現場の作業にも携わった。

  ……………

 かつての新日鉄釜石ラグビーはいま、釜石シーウェイブス(SW)にうけつがれている。
 完成した釜石鵜住居復興スタジアムでは、この8月中旬のこけら落としに、釜石シーウェイブスVSヤマハ発動機の記念試合を開催。
 満員(入場者数約6,500人)の観客に、スタンドでは応援の大漁旗が揺れる盛況だった。

 このスタジアムは常設6000席。アジアで初のワールドカップでは仮設を含めて1万6000人収容となり、この秋の大会本番では1次リーグの2試合が行われる。

 応援の菓子「ラグビーパイ」もできた。

  ……………

 (なるほど、それにしても、しかし)
 と、ぼくは思わず、野天のスタジアムの上空を振り仰ぐ。

 鉄鋼業の衰退とともに人口減に転じたかつての<新日鉄の城下町>釜石市、最盛期の3分の1にまでおちこんだ人口は約3万5千。
 ワールドカップでは大いに盛り上がるだろう…が、その後に課題をのこすのはオリンピックと同じだ。
 「復興スタジアム」らしい活況につなげたいところだ、けれども、まだこれといった名案はないらしい。
 釜石シーウェイブスのジュニア・チームも、人気ではサッカーにスクラムを押され気味、という。

 復興スタジアムのスタンド最上段に立つと、いまも海岸防潮堤づくり懸命の作業がつづいており。
 復興の道はまだ半ば…と語りかけてくる。
 
 ただ、交通インフラの整備は、大きなファクターになるにちがいない。
 海岸部を南北につなぐ「三陸沿岸道路」と、内陸部から釜石に到る東西の「東北横断自動車道」、この2つの完成は起爆剤として大きい。
 ラグビー・ワールドカップ開催の基軸を担う釜石シーウェイブス理事長、小泉嘉明の双肩にかかる期待も小さくない。
 
  ……………
 
 ところで
 ぼくは、こんどのワールド・カップ、釜石鵜住居復興スタジアムでの試合を、ぜひ見ておきたいとずっと思いつづけてきたのだが、いまだに抽選にあたらない。
 
 そんなとき、ふと  
 新日鉄釜石ラグビーOB、石山次郎(62)さんの言葉が想いだされた。
 大会誘致を働きかけ、スタジアム建築にも携わったラガー・マンが、本番は自宅(千葉県)で迎えるつもりだと、インタビューにこたえていた。
 「遠くから人が喜んでいるところを見るのがいい」と……