どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北2018さんりく巡礼 / <報告記26>-西和賀町-本わらび餅

-No.2018-
★2018年04月01日(月曜日)
★11.3.11フクシマから → 2944日
★ オリンピックTOKYOまで →  480日
★旧暦2月26日、有明の月
(月齢25.8、月出03:30、月没14:10)



※きのう3月31日(旧暦2月25日)は、七十二候の「雷乃発声(遠くで雷の音がし始める)」。たしかに<雪おこし>の雷より<春雷>のほうが目覚ましい。そして、きょうは、改元名の発表される日。なにやらスグにもコメントしなければならないような、そんなことになりそうな予感がしますが、さて……









◆「わらび餅」の里へ

 雨の大船渡をあとに、霧たちのぼる山間を抜けて釜石自動車道。
 さらに、花巻JCTから東北自動車道に乗り入れ、北上JCTから岐れて秋田自動車道……

 このたび(昨年晩夏)の<2018さんりく巡礼>、2度目の〝寄り道〟は<かまくら>で知られる横手市の北、〝湧水〟の三郷〔みさと〕町を目指す。

 途中のサービスエリアで、〝寄り道〟の〝寄り道〟地へ問い合わせの電話を入れ、「どうぞ」の返事をもらって湯田インターで下りる。
 ここは、まだ岩手県
 秋田との県境、西和賀〔にしわが〕町である。

 「湯田温泉」といえば山口…と思われる方がほとんどだろう、が、ここ西和賀町にも湯田温泉郷がある。
 …と言っても、ぼくはまだ訪れたことがなく。
 はじめての訪問も、温泉入浴が目的ではない。

 じつは、呑兵衛夫婦が酔狂にも「菓子」をもとめて行く。
 (図らずも「かもめの玉子」につづく菓子づくしの展開になった…)
 山あいの道を辿って温泉郷のある湯本、工藤菓子店の暖簾をくぐる。

「いらっしゃいませ、どちらから…」
「東京です」
「まぁ」
 と、表情ほどに声は驚いていない。
 どうやら、わざわざ遠方からやってくる好事家も少なくないらしい。

  ……………

 「わらび餅」という和菓子がある。
 近ごろは都会でも、あちこちで見かけるようになった。
 
 ぼくたちは夫婦そろって、この「わらび餅」が好物。
 その、なんとも和やかな舌ざわりと、くすぐるようなのどごしが、たまらない。
 あちら洋もののゼリーやプリンなんぞとは、くらべる気にもなれない……

 甘党のなかにも、「わらび餅」を名前だけのものと思っている方が少なくない。
 「だって、でんぷん(が原料)のお菓子でしょ…」と。
 蕨の根っこから澱粉がとれるなんて(やだぁホントに!)思ってもみなかった、らしい。

 ま…無理もないのダ。
 ワラビはシダ植物の仲間で、この地球上に現れたもっとも古い植物群に含まれ、仲間内には丈高く繁茂する木生シダさえある。
 そのアクのつよさも、うっかりすると中毒をおこさせるほどのもの、と知らされている。

 だから、ぼくなんかも蕨の若芽(スプラウト)を「おひたし」でいただくときなど、ソッと丸く閉じた葉先を撫でて〝原始〟に想いを馳せることがあるくらい。

 そんなシダ植物から、あの「わらび餅」が生まれようとは、とても思えないし。
 根っこから採れる澱粉といっても、ごく希少にすぎない(事実ワラビ10kgからわずか500gくらい…だそうな)だろうから、あとは混ぜものにチガイない…とふんでいた。
 実際、たいがいの「わらび餅」の原材料表示は「でんぷん」でしかない。

 ところが、そんな希少な「わらび粉」100%の「わらび餅」があるという。
 それが、西和賀町の「わらび餅」。
 この町は「わらび餅」の里という。
 これはぜひ、チャンスがあれば訪れて、その地の空気もともに味わってみたい…と思っていた。

 ……ところへ、追っかけ、さらに吃驚情報がとびこんできた。
 「畑で蕨が栽培されている」という、まさか…そんなのありか!?

 映像で紹介された「わらび畑」というのは、まさに田園に出現した原始の藪。
 詳しい栽培法はわからない…けれども、なにしろ山菜採りの名人と呼ばれる人がくふうした、いうまでもない無農薬栽培。

 畑は「ほだ」と呼ばれる丈高く茂った蕨の葎〔むぐら〕だが、その下生えとして若い蕨の芽が、雪の消える頃、早い春の低温で次々に生え育つ。
 それを収穫すればいいから「なんぼか助かる」というのダ……

 なお、ちなみに、蕨は地下茎で繁殖(種子をつくらない)、その地下茎(根っこ)から澱粉が採れる。
 「わらび粉」から製される「餅」は飴色。
 いっぽう、やがて枯れた「ほだ」は自然の堆肥となって循環する。

  ……………

 いうまでもないことだが、ぼくたち人間(ヒト)は、ほかの生命体の栄養をえて(食べて)生きている。
 だから、とうぜんに、吾が身の栄養となる生命体の〝生命力〟に関心が向く。
 〝原始〟に近いワラビの生命力が、ぼくを肚の底からつきうごかした。
 (汝〔なんじ〕みずからを知れ…然〔しか〕して、その真実を食すべし)

  ……………

 西和賀町には「わらび餅の里づくり協議会」があり、町の特産で国内随一のこの〝本わらび粉〟に「西わらびねっ粉」の名を付け。
 100%本わらび粉(澱粉)づくりの「わらび餅」を、わずか3軒の菓子屋にのみ認めており。
 その1軒が、この工藤菓子店なのであった。

  ……………

 さて
 (食したのは、宿に着いて風呂を浴び、熱い茶を淹れてからだったが…)
 その〝本わらび粉〟の「わらび餅」。
 極々上の、とろりと上品な感触ここちよく、気がつくとたちまち箱から消えていた……そう、春の淡雪のごとくに……!!!


※なお、取り寄せ情報に付記しておけば、このとき工藤菓子店で買い求めたもう一品「およね饅頭」という、地元の民謡『沢内甚句』にちなむ薄皮にクルミをのせたつぶし餡、しっとり焼きまんじゅうの味わいも、まぁ、えがったなす。


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