どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

ちょっとヒトコト…フタコト…ミコト ~No.31~  春のあしおと-其の壱-芹

-No.1976-
★2018年02月18日(月曜日)
★11.3.11フクシマから → 2902日
★ オリンピックTOKYOまで →  522日
★旧暦1月14日 → 待宵月、小望月、満月へ2日
(月齢13.6、月出15:44、月没05:11)


*「元気印」のワルイ癖で、ガンバりすぎたらしい。ガンバったあとの酒が、ことのほか美味い…のがさらによくない。わかっている、が、どうも<行くとこまで行かないと>キリがつけられない。<生きものの宿命>か!?…で、例によって半年に1度くらいのキマリごと、パタッとダウンして、この週末3日間を休養、どうやら復帰したところデス。いいねぇ、暖ったかいってのは……





★春を食べたくなって★

 ……心リハ(心臓リハビリ)の帰途、デパ地下に寄って「芹」を買ってきた。
 「芹なべ」にする気で しかし つくったことも 食べたこともなかった けれども そんなこと天から考えもしなかった。
 ぼくのこころもちでは、ごくあっさりした出し汁で、芹も包丁なんかいれずに、ザックリそのまま。
 そんな思い入れで……

 でも、内心じつは落胆していた。
 ふるい想い出のなかの芹とは、まるで違っていたからだ。

 ぼくにとっての「セリ」の記憶は、「七草粥」。

  ……………

 正月7日の朝。
 母が台所で、低く唄いながら菜っ切り包丁をつかい始める。

  〽ななくさ なずな とうどのとりが……

   (あとは忘れた)
   (唄の句ぎりに、合いの手のように)ストトン ストトン
   (菜っ切りの刃がまな板を叩く)

 そうして、いつのまにか、まな板とそのまわりに野の草の香が充ちていく。
 七草といっても、家庭でのそれにすべてが揃うわけではなくて、それでも適当にでも数はたしかに七種類あったように思う。

 「草っ葉」に混じって、スズナ(かぶ)やスズシロ(だいこん)の小さいながら「身」、それにセリの白い「根っこ」もちゃんと刻まれてあった。

 「芹」は、別に「シロネグサ(白根草)」とも呼ばれて、30センチくらいある草丈にまけないくらいの、白い根を元気よく伸ばす。

  ……………

 やがて、土鍋の湯気に粥の炊ける匂いがしてくると、子どもたち(姉と弟)は卓袱台〔ちゃぶだい〕に家族ぶんの茶碗と箸を揃えて待つ。

 戦後すぐ生まれのボクらの世代、「粥」というのには米粒の少ない貧しく哀しいイメージばかりで、ヘルシーなんて「とんでも八っ分〔ぷん〕あるいて五分」、「粥っ腹じゃ」といえば力が入らないことを意味した。

 それが、「七草粥」だけには暗さがなかった気がする。
 ナズナ(ぺんぺん草)だったか、ハコベラだったか、苦みのつよい草もあったが、それらもスズナスズシロの身の白い細片に吸いとられてしまう。
 そんななかにあって、(わたしバッテキされましたから)とでも言わんばかりに、春の香りをふりまくのが芹の役どころであった。

 田んぼの脇の湿った土に、小さな菱形っぽい葉を広げてげんきに踏んばり、夏になれば白絵具を振るい散らしたような花をにぎやかに咲かせて、いっこうにメゲない末っ子みたような草。
 ごく雑な草の仲間でありながら、けして「雑草」なんて呼ばせない気丈さに、ぼくなんかもなんか知らん、ずいぶん気もち励まされたりしたものだった。

 「せり」の名の由来、「迫り」あるいは「競り」からきたというのが、なにしろ、すんなり呑みこめる、そんな草。

  ……………

 それからの歳月、戦後の復興期から高度経済成長期へとわたり歩くうちに、芹はだんだんにその出番をうしない、なにかの折に、ふと思い出したように食卓に顔を見せるくらいになっていった。

 たとえば、そう、
 秋田の「きりたんぽ鍋」に、たしか芹が入っていたっけね。
 …といったような塩梅に。

 いちじ、春になると知りあいから、とりとめもなく育った「田芹」のおすそ分けが届くことがあった、が、それもいまはない。
 田んぼがなくなったか、お百姓が収穫しなくなったか…だった。

 そのままにすぎれば、芹の香も、やがて忘れたかも知れなかった、が。
 ときのイタズラが、ぼくの記憶を呼び覚ます。
 映像が、田芹の収穫を伝えてきた。
 それも、東日本大震災被災地のひとつで、それ以来、ぼくたちが訪れつづけてきた名取市から……

 芹を育てる田んぼで、お百姓がゴムの繋ぎの膝を折って、腕一杯に収穫した芹を抱え込むようにしている。
 その芹の束には、これまでお目にかかったこともないような、リッパすぎるくらいの白い根っこが笑い転げてござった!
 (あのバッテキされたわたしデスよう)と。

  ……………

 ぼくの記憶に記憶がかさなって、寒中に春芽が吹いたわけだった。

 しかし、デパ地下の芹は、せっかくの「白根」が短く切り揃えられていたうえに、根っこそのものにも、いまひとつ無邪気さが欠けていた。

 やむなし……
 かみさんがネットで調べた「せり鍋」、鶏肉のスープに芹をシャブっとして食べた。
 湯気に芹の香、クンクン嗅いで頬ばった。
 こんどこそ、「白根」のたっぷりした芹で、もういっぺん「芹しゃぶ」を喰いたい!

セリ(根付き) 無農薬栽培 5把 【送料込】

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