どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北2018福島・巡礼/ <報告記26>-まとめ③-仮設住宅三話

-No.1892-
★2018年11月26日(月曜日)
★11.3.11フクシマから → 2818日
★ オリンピックTOKYOまで →  606日





◆其の壱…〝板倉〟仮設、西日本豪雨被災地へ


 まず、はじめに、ちょっとイイ話しから。

 《11.3.11》の被災地、福島県いわき市で避難者たちの暮らしを支えた木造仮設住宅が、新たに次の役割をえて、ことし夏の西日本豪雨被災地、岡山県総社市に計44棟が移築されました。

 災害列島ニッポンに暮らすぼくたちは、いつ<避難所>や<仮設住宅>のお世話になるかも知れないから、関心をもたないわけにはいきません。
 仮設住宅というのはどのようなもので、また、お役ごめんになった仮設はどうなるのか(?)を、きっと知りたいだろうと思います。

 ズバリ、ざっくり言ってしまえば。
 仮設住宅は、もじどおり<仮設>ですから、ご想像のとおりのきわめてシンプルな造り。つかい勝手では、棚などの造作を勝手にはできない、つまり、本質はあくまでも<借家>デス。

 入居者が出て空き家になれば解体され、一部再利用されるものをのぞいては、基本ほとんどが廃棄処分にされマス。もったいない…と思っても現実には、なかなか使い途が見つかりません。

 そんな現状を打破して、<再利用(リユース)>の道を切り拓いたのが、「板倉」と呼ばれる工法(技術)による木造建築。

 この項の冒頭にお見せしたのが、じつは、ぼくん家の木工工房「ちっこ房」建築に採用した「板倉」の壁組みです。
 ご覧のとおり、12cm角の柱の間に、厚さ3cmの壁板(いずれも杉材)が〝落とし込み〟と呼ばれる工法で嵌め込まれています。

 これなら、建築に詳しくない素人の方にもワカリやすい、そうです「解体・移築もやさしい」建築法。
 バラして、運んで、再建できる。躯体(骨組みなど全体の構造)にはクギなど使われていません。

 ボクが目をつけたのも、まさにソコで、災害の多いこの国では好むと好まないとに関わらず、移住させられることが多い。現実に、これまでも神社や米蔵に用いられてきた工法です。
 ならば、イザとなったら解体・再建しやすい、この「板倉」建築にしようと思ったわけでした。

 そうして実際に出来あがってみると、湿度や温度が安定して快適、冷暖房費も少なくて済み、訪れた方は「いい匂い」と口をそろえ。
 建ててくれた大工さんが言うには、「これなら材も腐りにくいから、100年はもつかも、そのあいだに万が一、火事があっても燃え方はゆっくり時間がかかります(笑)」とのこと。

 笑いごとじゃありません。こんどの西日本豪雨の現場でも、浸水で木材が腐ってしまったために、改修や再利用ができなかった住宅が少なくない、そうですからね。

 福島県いわき市の仮設で7年間つかわれ、このたび岡山県総社市に移築されることになったのも、この「板倉」工法による木造家屋です。

 資材を無償で譲り受け、コスト削減と工期短縮に成功した総社市の担当者は、じつにイイところに目をつけたと思います。
 建物を見に来た被災者からも、「プレハブより居心地がよさそう」と好評だったようですが、これもまさにそのとおり。東日本大震災仮設住宅でも、「木造でヨカッタ」の声がとても多かったのデス。

◆其の弐…進化する仮設住宅

 それは1995年、あの大規模都市災害「阪神大震災」から始まった、といいます。
 同じ<応急>ではあっても仮設住宅は、このときから「必要最低限」から「居住性を配慮」したものに進化していきました。
 そうしてそれは、とうぜん入居者(被災者)の声を反映してのことだった、わけです。

 一般的にはいまも、その必要が生じたときに自治体が、建築関連会社などでつくる「プレハブ建築協会」に依頼するのが、仮設住宅の基本。協会と全都道府県との間には、協力協定がむすばれているわけです。

 阪神大震災では、これまでで最多の計46,526戸が提供され、応急のスピードに加えて、初めて居住性の配慮がなされました。
 とはいえ、風呂・洗面台・トイレは一体の造りで工期の短縮と空間を節約、エアコンは標準装備されなかったのです。

 それが、有珠山噴火(2000年)のときには、入居家族の人数に応じて間取りが3タイプ(1DK・2DK・3DK)に、風呂とトイレも別になり、さらには、全戸にエアコンや暖房器具が設置され、天井・床・壁の断熱材も補強されました。
 
 東日本大震災(2011年)後、43、260戸にのぼった仮設住宅には、風呂に追い炊き機能が付いたほか、寒冷地対応の玄関風除け室や二重サッシを採用。
 高齢者のため、バリアフリーのスロープや手すりの設置も進んで、木造仮設や多層プレハブ仮設などのバリエーションも豊富になりました。

 さらに熊本地震(2016年)後になると、床や壁の一部に熊本県産木材が採用され、各戸に縁側と棟ごとにベンチを設置…という具合。

 (あと、自然災害の多い日本に望まれるのは、建築材料の備蓄と提供の即応態勢でしょう。そうするとますます、前項で紹介した「板倉」の木造仮設が注目されることになるわけデス)

◆其の参…仮設の無償譲渡は不人気

 役目をおえた仮設住宅は、いずれ撤去されますが。
 その費用も、それにともなう廃棄物処理も、けして小さくない課題です。

 ちなみに福島県がかかえる仮設住宅は約13,000戸。
 できれば、二次利用してもらえれば助かる。

 福島県が、そう考えて無償譲渡の公募をこころみた(16年5月~)そうですが、対象になった430戸のうち譲渡されたのはわずかな数にとどまった、とのこと。

 ぼくも、その事情の一端を、このたびの取材行脚中、いわき市で見とどけています。
 県ではこれからも公募をつづける方針だそうですが、サテ…どうでしょう。

 同じく川内村では、村営住宅への転用が考えられています。
 また避難指示解除の浪江町では、住民むけの一時宿泊所への転用を模索……

 岩手県でも、避難入居者に人気があった住田町の木造仮設、空き家になったところへ、いまは一般の人の入居を認めていましたけれども、その後、どれほどのことになっているのかは、知りません。

 ぼくが個人的に思うには、これはやはり、簡易目的の施設か事務所に利用されるくらいにとどまるのではないか、そんな気がするのです。

 たとえば、発展途上国などに無償提供できれば、よろこんで受け容れられるだろう、とは思うのですけれども……


※以上26回をもって「2018福島・巡礼」の報告記を終わり、明後日から「さんりく(宮城・岩手)巡礼」の報告をスタートします。