どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北2018福島・巡礼/ <報告記12>-浪江町④-復興2話と教育と

-No.1853-
★2018年10月18日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 2779日
★ オリンピックTOKYOまで →  645日


*町田市郊外のわが家はケッコウな自然に恵まれており、そのひとつにカマキリの棲息があげられる。「蟷螂」あるいは「鎌切」…毒蛇を連想させる三角の頭は強面だけれど、子どもの頃には首根っこ捕まえたりしていたのが、いまでは懐かしい。カマキリのメスがオスを喰う場面も見ているが、卵を産むためにはやむをえない…とナットクしている。が、緑のオスが褐色型のメスに喰われる図だけはオスが哀れに思えたりもした。カマキリの卵鞘〔らんしょう〕を「おおじがふぐり」と呼んで、「ふぐり」は「睾丸」、つまり「老人の睾丸」の意。そういえば、そんなふうに見えなくもない……*






◆「まち・なみ・まるしぇ」

 浪江町は…苦戦に耐えてガンバっている、印象がつよい。
 想えば…町の現代史そのものが、苦戦の連続といってよかった。

 福島県が〝浜通り〟に、いまの東京電力福島第一原発を誘致することになったときには、浪江町も候補地のひとつだったが、現実に選択されたのは隣り合う双葉・大熊の両町だった。
 つづいて東北電力、浪江・小高(南相馬市原発の話しがもちあがると、町はこんどこそと誘致に熱を上げたが、結果はこんどもあてがはずれ、女川原発にもっていかれた。

 その挙句に、こんどの大地震津波原発爆発事故だった。
 放射能汚染の被害は、原発立地の双葉・大熊と変わらない全町避難。原発がらみのおこぼれ余禄なんかケシとんだ。

 ……………

 アレから6年の17年4月1日、二本松市に避難移転していた町役場機能の大半が元の本庁舎に戻り、常磐線浪江駅も開業。
 その前日の3月31日、町の全域「避難指示」は解除になったけれども、なお大半の町域は「帰還困難区域」のままだった。

 そんな苦戦がつづく町に、役場が〝帰還〟する半年前。
 16年10月末に、町復興のシンボルとして役場敷地内にオープンしたのが、仮設商業共同店舗「まち・なみ・まるしぇ」。

 なかでも話題をさらったのが、誕生して60年ほどになるというソウルフード「なみえ焼そば」。「B-1グランプリ」のゴールドグランプリに輝いて一躍脚光を浴びた。

 ぼくたちも(いちど食しておかねばならんな)と、昨年も訪れてみたのだ…が、駆け込む予定が遅れて昼すぎになったら、早や店を閉まったあと。その日に用意した分が売切れたらオシマイ、という。

 だから、ことしはなんとか、昼どきに間にあわせて入店。
 10人ばかりのグループ客が先に注文をすませた後で、ヒヤヒヤさせられたが、ぶじ食することができた。
 極太の麺に、具は豚肉とモヤシ、濃厚ソースの味付け。「浪江焼麺太国」と記された皿にたっぷり、食べ応えよし。

 なお、腹ごなしまでに、お噺をひとつ。
 じつはボク、「B-1グランプリ」の前に「B級グルメ」ブームというのがあったから、同じ流れのものかと思っていたらチガウのだとか。「B-1」のBは「Brand(銘柄)」だそうな。ふ~む。
 「なみえ焼そば」の評価は果たして「B級」か「B-1]か、むずかしいところに思えるのだった……
 








◆美しい故郷に働く場を…

 ガンバるお話しを、もうひとつ。
 町役場のある中心地から、国道6号を挟んで海側の、元は田園の一画に、新しいハウス群が建ち、棟数をふやし始めている。
 
 運営するのは、NPO特定非営利活動法人)「Jin」(代表、川村博さん)。
 障害者や高齢者むけのデイサービス事業などを行っている団体が、「故郷を美しくしたい」思いから農業を始め、南相馬市の「サラダ農園」からスタート、花づくりに進んで選んだのが、都会の花屋さんでも評価の高いトルコギキョウ

 17年には東京都の花卉卸売業者から、新規産地で高品質な花をつくるブランド(名称は「Jinふるーる」)と認められ表彰された。

 将来的には、若者たちに働く場を、あわせて高齢者には生きがいの場を創り、町にうしなわれたコミュニティーをとりもどすのが目標。5年以内に栽培面積を1ヘクタールまで拡大、有機栽培で温度管理なども自動化したい、という。

 「Jinふるーる」のトルコギキョウは、ことし8月はじめに県外初出荷。

◆祭りの復活、水素エネルギーの産地へ

【相馬野馬追】
 ことしは7月28日~30日に、福島県浜通り〟伝統の「相馬野馬追」があり。
 祭りの主会場は南相馬市だが、昨春「避難指示」が一部解除になった浪江町でも8年ぶりに騎馬武者による「お行列」などの行事が復活、再開。「郷」と呼ばれる地域ごとに編成される騎馬隊5つが、町を練り歩いて復興を祝った。

原発は無限の人権否定】
 災害・環境問題に加えて経済的にも、世界で再考・廃絶の動きが広がる原発
 イギリスでは、ウェールズアングルシー島で計画中の原発(建設を請け負うのは日立製作所)に、住民から反対の声が上がっている。
 この動きに応えて、「反原発」に連帯の行動にでたのが浪江町の町議と福島県農民連合会長。
 7月にウエールズを訪れ、アングルシー議会などで発言「原発は無限の人権否定」と訴えた、という。

【世界最大級の水素製造工場】
 かつて「浪江・小高原発」の構想(東北電力)があったことは、冒頭の記事で述べた。
 地元農家の強い反対で計画は先送りになったのが、こんどの福島第一原発爆発事故があって中止になっていた。

 その東北電力から無償譲渡された跡地に、新世代の「水素エネルギー拠点」ができる、という。

 福島第一原発の北10km。
 浪江町沿岸の高台、約128ヘクタールの土地(震災・大津波後は災害危険区域になって人は住めない)ですでに造成が進み、19年度中に完成の予定という。
 
 この工場では、敷地内の太陽光発電で出来た電気を使い、水を分解して水素をつくる。その水素は、酸素と反応させて発電する燃料電池に活用する。

 年間の製造量は900トンで、燃料電池車1万台が1万km走れるというから、なるほど大した規模。
 2020TOKYOオリンピックの選手や観客を運ぶバスの電力にする構想もある、という。

 この水素エネルギー工場は、国費100億円をかけて行われる事業で、民間企業も参加する。浪江町には雇用が増えるだけではない、新生復興をアピールするものにもなりそうだ。

 あのとき…原発誘致に動いた人たち、あるいはまた、反対を貫いた人たちの、いまの想いはどうだろう。
 いずれにしても、なにかが大きく変わりそうな、予感を抱かせるコトには違いない。