どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

「つゆ草」と「青花紙」の…青!?…碧!?…藍!?

-No.1775-
★2018年08月01日(水曜日)
★11.3.11フクシマから → 2701日
★ オリンピックTOKYOまで →  723日



*去年「ほおずき市」で買ってきたホオズキ。大きめの鉢に植え替えておいたら、みごとに育った。葉っぱを見れば、はるほどナス科の植物だし、地下茎で勢力を伸ばす生命力もナスの仲間らしい。…ということは油との相性もいいはず と思うけれども 料理して食べてみようとは思えないところが…鬼灯か。もう、ひと月も赤い実つきを保持しているのに、驚いている。ホオズキの実をやさしく揉みやわらげ、タネを抜いて鳴らす…女の子の口もとが艶めいていたのを想い出す。ぼくら男どものほうはもっぱら、丈夫で歯ごたえもいい<海ホオズキ>をキュッキュと鳴らして遊び戯れてましたっけね……*








◆「つゆ(露)草」

 …別名「つき(月)草」。*写真(上)
 通称「青花」で、ツユクサ科の草花。

 夜明け前から咲き始めて昼前(露が乾く頃)には萎んでしまう。
 「月見草」と似たような性質だけれど、月見草のほうは日暮れから咲き始める(こちらはアカバナ科だそうな)。

 ツユクサは、地を這うようにして30cm以上にも伸びる茎の先に、小さな青い花をつける。
 この花弁〔はなびら〕を爪先で潰し搾るようにすると、わずかに青い汁が採れる。

 つゆ草の花の時期はちょうど夏祭りの頃で、戦後すぐ世代までの子どもたちは、コレで指先を染め、あるいは顔に猫ヒゲを描いて遊んだりしたものだった。
 わが家の猫の額みたいな裏庭にも この時期 いまでも律儀に「つゆ草」が顔を見せてくれる。
 (が……地面を這いつくばるばかりで、てんで写真にならない…というか撮る意欲もおこさせない自堕落な風情のまま、やがて枯れ萎れていく)
 
 じつは、こんな子ども遊びはオマケにすぎなかったわけで……
 むかしから「青(藍)の染料」として摺り染めにされた けれども なにせ花が小さいからハカ(計・量)がいかない。
 そこで「つゆ草」を改良、草丈も花も大きくしたのが栽培種としての「青花(オオボウシバナ)」。*写真(下)
 琵琶湖畔、草津市の特産。

 花を摘み集めたのから搾りとった青汁を、和紙に染ませ吸収させたものを「青花紙」と呼んで、友禅染や更紗、絞り染めなどの下絵書きにいまでも使われる。
 ぼくも友禅の手仕事を拝見する機会があって、はじめて知った、惚れた。
 それから幾度か草津を訪れてはいる が いまだに花の時季を知らない。

 「青花」の擦り染めは、水に濡れると褪色するので流行らなかったものだ けれども 逆にその性質を利用して生まれたのが「下絵書き用」の「青花紙」であった。
 青花の汁で描いた下絵は、いずれ夢のあとのように消えてしまう。

 琵琶湖畔に青花が咲きそろうのは7月中旬以降。
 このときが、そのまま収穫期というわけで、なにしろ「つき(月)草」だから、花を摘むのも朝方、時間との闘い。

 いずれにしても小さな花びらだけを 一つ一つ 摘み取るのは熟練を要する作業で、重労働。
 むかしは、そのせいで「地獄花」と呼ばれたこともあったというし。
 半面、現金収入も大きくて、これで「青花御殿」を建てた人もあるほどなので「小判花」でもあるそうな。

 さらに重労働は、花摘みだけで終わらない。
 摘んだら、搾る。
 揉んで潰して、布で漉す。

 濾した青(藍)汁は、そのままでは腐ってしまうので、厚手の和紙にたっぷりと染み含ませる。
 たっぷりと含ませる「青花紙」づくりにも根気が要って、晴れて風のない日を選び、刷毛で染みこませた和紙を 天日に干しては また染みこませる…のくりかえし。

 いまの製法は
 土佐の伊野和紙を使って、1組48枚に、80~90回も 染ませては干す をくりかえす。
 そうして、紙の厚みが4倍くらいになったところで、ようやく完成。
 出荷は、1組48枚を2組96枚にあわせて1束、これが取引単位。
 むかし、着物の生産が盛んだった頃には仲買人もたくさんいて、たいへんな繁盛ぶりだった とか。

 問屋さんでは、これをビニールなどで完全に密封したのを冷蔵庫で保管、「青花紙」は1枚づつ、ばら売り。
 下絵描きの現場では、角切りの塩昆布ほどの大きさにして使われ、〝塩昆布〟大2~3枚あれば1枚の下絵を描きあげられる とのこと。

 絵具皿の「青花紙」には、水を垂らすだけ、あとは筆まかせ。
 かつて、毛筆・墨書を常用するところでは、硯の墨汁を脱脂綿に吸わせて乾燥を防ぐことが行われていた(もちろん墨色いのちの書や水墨画の世界ではありえないことだが…)が、いまはどうなっているだろう。

 「青花紙」の世界でも、いまは安価な「化学青花」が幅をきかせているらしく、「本青花(純正青花製)」は時流に押され気味の様子。
 そのことが、いまチョト気にかかっているところ。
 
 なお、陶器の世界にも「青花」というのがあって……
 こちらは「染付」という技法によるもの。
 釉〔うわぐすり〕の下で藍青色を発色させ、染物の藍染に似た色彩効果をもたせたもののこと。
 これを中国では「青花(青い模様)」。
 なるほど、雰囲気は「青花紙」から染みだした青に似て見える。