どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

<イセエビ&マダコ&ウツボ>の三角関係が興味深い/生きる(食べる)ことの功利性とセツナさ……

-No.1743-
★2018年06月30日(土曜日)
★11.3.11フクシマから → 2669日
★ オリンピックTOKYOまで →  755日


*きのう6月29日に、関東・甲信地方は「梅雨明け」したとみられる…と気象庁からの発表あり。ことしの季節変化はズッとガクガクつづき…で先が思いやられる。*

地震の規模としては(たいしたことなくてヨカった)はずの大阪地震(6月19日)で、被害が大きくなったのは…ザンネンながら、こんどもまた〝油断〟だった。「この辺りに大地震はない」との勝手な思い込みから、ブロック塀の倒壊にまきこまれ、あるいは家財道具の下敷きになって人命がうしなわれ、大都会は脆弱ぶりを露呈した……。ワタシたちは「現在の科学で地震の予知は無理」だと知った。と同時に「日本に地震安全地帯などない」ことを知るべきだった。官にも学にも民にも……まだまだ深い洞察がたりないゲンジツ。とくにも「ブロック塀」の恐怖には、建築基準法でなしに<禁止法>が必要なのではないか。狭い土地のブロック塀に<控壁>など無理な話しだし(はじめからその構造に危惧もあることだし)、倒れれば重量負荷が大きすぎる。まず先決は<中を見えなくする>発想からの脱却ではないのか。*









◆ナメクジ&ヘビ&カエル…グー&チョキ&パー…

 古くは「三竦〔すく〕み」と呼ばれた、〝奇妙〟な(別の見方によれば〝絶妙〟な)三角関係がある。
 つくづく<三角関係>というのは不可思議でシンと深い……

 まず<一人>の個があって、<二人>になって関係が生じる。
 そこまでは、なんのこともない、ブラボーな世界。
 そこに、もう一人が加わって<三人>になると、とたんに無窮の混沌としたベクトル世界に迷い込む。
 そうして、擦った揉んだの挙句…そこに、またもう一人が加わって<四人>になると…こんどは<二人>と<二人>の関係へと納まってゆく。

 海には……
 <イセエビ&マダコ&ウツボ>の三角関係がある。
 その生態を丹念にとらえた映像ドキュメントに出逢った。
 舞台は、なんと、東京湾である。

 東京湾というのは、戦後ニッポンの復興期、高度経済成長の荒波にもまれて濁り、一時はあやうく<死の海>になりかけたのが、その後、息の長い水質改善の努力がみのって復活した。
 いまの東京湾は、太平洋に開けて栄養豊富で巨大な、蛸壷のような海。
 そこには広い外洋でおなじみのマンボウジンベエザメ、巨大なサメの仲間メガマウスなんかもやってくる。

 ……………

 さて、その海の底でのお話し。
 この場合 まずは

◆イセエビとウツボの「双利共生関係」

 …から始めるがよさそうだ。
 「双利共生」というのは、どちらにも利があって共生が成り立つ。

 ウツボは、「海のギャング」とも怖れられる大型の肉食魚だけれども、なにがなんでも、矢鱈滅多に咬みついているわけでもない。

 たとえば、ホンソメワケベラやゴンズイといった小魚、そのほかエビ類がウツボの棲処(岩礁の穴など)近くに群れているのは、彼らが「掃除屋さん(クリニック兼クリーニング)」だから、喰われる心配もないからだ。

 それと同じか、もっと利が濃いのがイセエビとの関係で、ウツボがイセエビの棲処に近く身を潜めているのは、大好物のマダコがイセエビに吊られてやってくるのを狙うため。

 このようにマダコはイセエビ(が大好物)の天敵である。マダコに遭遇してしまったイセエビは、〝後退り〟というより〝後疾走〟といったほうがいい、慌てふためいた遁走する(この習性を利用してイセエビを誘いだす〝蛸脅し漁〟というのがあるくらい…)。
 イセエビにとってもウツボの用心棒は好都合、というわけなのだ。

◆大きなものは体長1mを超えるウツボ

 …は温暖な浅い海を好んで、ときには汽水域とか海岸の磯にまで上がってきて小魚を襲ったりもする(皮膚呼吸もできて30分くらいは海から離れても生きられる)、が。

 なんといっても、大好きなのはタコの身肉の柔らかな食感らしく、8本ある触腕に噛みつき喰いちぎる。喰いちぎるのに、長い体を高速回転させたり、巻きつけた体をほどく反動の勢いを利用したりもする。
 中型魚くらいなら、巻きついて魚体を苦もなく圧し折ってしまう。
 そら恐ろしくも凄まじい。
 
 なにしろウツボの鋭い歯をそなえた大きな口、その口中には第2の口ともいうべき顎構造があって(いわば二重構造になっていて)、この第2の顎(咽頭顎)の威力で獲物を圧し折り、呑みこむことができる。 
 …が、それでもイセエビの殻は噛み砕けない、という。このへんが じつに絶妙で、ひじょうに オカシい。

 ともあれ、こうしてウツボは、およそ30年は浅海域の王者として君臨する。

 それに対して
 

◆祝いの飾りにもなる伊勢海老の寿命は20年くらい

 ウツボを用心棒にしている(雇っているわけではないが…)イセエビは、成長すると体長は35cmほどになり、体重は1~2kg。

 第1触覚にはノコギリ状の刃が具わり、また第2触覚には餌を識別するセンサーが具わって強力、その根元には発声器も具わってギィギィという威嚇音を発する。
 体は堅固な棘だらけの殻に守られており、この殻は強い顎をもつウツボにも、コブダイにも、噛み砕くことができない(天敵としてはほかにサメ、イシダイくらい)。
 
 いっぽうイセエビ自身の方は、貝類の殻を噛み砕くことができる。

 イセエビの弱点は、年に2回ほど脱皮しなくてはならないこと。
 イセエビは脱皮を繰り返して成長するからだ。脱皮した直後の殻は軟らかいので、硬くなるまでの間は岩穴や岩礁の隙間などに隠れ潜まなければならないのダ。

◆寿命わずか1年のマダコは知能の高い美食家

 イセエビが大好物のマダコは、まったくのところ、変幻自在。
 変装(擬態)の特技があり、体色を自在に変化させて岩石や砂地に紛れて待ち伏せ、獲物のイセエビを襲う。
 体長は60cmくらいだが、腕のほうが胴(頭)にくらべて3倍くらい長い。

 マダコの吸盤は、真ん中に穴が開いた構造になっており、吸い玉(医療用吸引具)のように吸いつく力が強く、これでイセエビを捕まえ放さない。この優れた武器の吸盤はもちろん、つねに新しいものに更新されていく。

 マダコは口の威力、これまた抜群。その「カラストンビ」の口からは、毒液を分泌してイセエビの神経を麻痺させる。
 
 マダコの天敵はウツボで、この乱暴狼藉者に遭っては、ほんとに命がいくつあってもたりない。

 しかし、喰われているばかりでもない。
 マダコの吐く墨にはウツボの神経を麻痺させる成分が含まれ、これでマダコは難を逃れることができる。また、強力な吸盤の並んだ腕を外側に向け丸くなることで、ウツボからの攻撃を回避することもできるのダ。

◆生殖生態は3者とも〝懸命・神秘〟

  イセエビの産卵数は100万個ほど。
 孵化した卵は、30回もの脱皮をくりかえしながら1年近い歳月をかけて成長するが、はじめは親とは似ても似つかぬ形態をしている。幼生期のイセエビは、まるで「透明なクモのようだ」といわれる。また、エビ型に成長しても初期は「ガラスエビ」と呼ばれる透明な存在…これで捕食者からの難を逃れている。

 ウツボの生殖は、雌雄が長い体を寄り添わせて行われる。このときオスはメスの下顎に噛みつくが、これは体が離れないようにするため、と思われ……
 ウツボの幼生は、まるで「透明なゼラチンの帯」のようだ、という。
 その生態には、まだ謎が多いのダ。
 
 マダコの生殖は、オスが交接腕から精子をメスの体内に送りとどけることで確実におこなわれる。藤の花房のように見えることから「海藤花」とも呼ばれるマダコの楕円形の卵は、数万~数十万個。

 マダコのメスは、孵化までの間、口の漏斗で新鮮な海水を卵に送り与えたり、8本の腕で優しく撫でたり、卵を狙う敵を追い払ったり、涙ぐましい子育ての末、1ヶ月ほどで孵化した後には理不尽な死が待っている。

 仔ダコはほぼ透明で、親にくらべると胴長だが、早々に腕には吸盤ができている。
 マダコは成長して海底生活に入ってから2~3年で急成長、そして1年で死ぬ。

 <イセエビ&ウツボ&マダコ>3者3様に命がけで生きる。
 したがって、この3者の場合は「三竦み」というより、奇妙な「三角関係」というべきかも知れない。

◆では、ヒトの食味では、どうか?

 イセエビの旬は寒い季節、晩秋から早春にかけて。 
 …とは知っていても、祝いごとも少ない近ごろは とんと 食べるチャンスがない。

 とくに値の張る大ものには縁が薄いので、口惜しまぎれに言わせてもらえば、イセエビの大ものの身肉は大味で、その食味においては飾りものほどのありがたみはない、のである。

 マダコも味がいいのは、やはり冬。
 したがって、「正月にタコ」というのは理に適っていることになる。

 味がしまって美味い…と評判なのは「明石のタコ」だけれど…いいタコはほかにもある。
 ただ、他国の海域からやってきたものは<味わいが薄い>気がする のだが これはあるいは依怙贔屓かも知れない。

 おしまいに、ウツボ
 ウツボを食べさせる土地、料理法、店はあるが……

 ぼくは初体験でコリた。

 その特異な<脂っこさ>が、ボクの体質にはあわなかったらしい。
 したがってボクは、ウツボの旬も知らない……