どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

二ホンモモンガの生態調査…などの動物行動学者/   小林朋道さんの『ヒトの脳にはクセがある』話

-No.1741-
★2018年06月28日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 2667日
★ オリンピックTOKYOまで →  757日





*根っからの旅人であるボクは、駅弁で育ってきたようなもの。汽車の窓を開け、あるいはわずかな停車時間のホームを駈けて弁当屋さんを呼んだものだ、手にはキッチリつり銭無しの代金を握って…。列車の運転が高速になり、停車駅の少ない窓の開かない優等列車が多くなるにつれて、ホームから弁当屋さんが姿を消して車内販売にとってかわられた。そうしていま、昔ながらの<駅弁>にかわる<行楽弁当>が品質もスタイルも多彩に、妍をきそって根づよい人気にこたえつづけている。メデタイ。食事時間にまたがる<鉄旅>の少なくなった近ごろのボクは、この<行楽弁当>を手土産に帰宅することが多いのだけれど。なかでも<お気に入り>になっているのが、奈良・吉野「柿の葉寿司」の中谷本舗の品。旅人としても熟してきたからか…熟〔な〕れずしが肌にあってきたようなのだ。中谷本舗の店は、東京駅構内グランスタ内に「ゐざさ茶屋」があるほか、デパートだと高島屋に出店をかまえている。(写真は左から、鱧寿司、吉野桜寿司、さんま姿寿司)*






◆『ヒトの脳にはクセがある――動物行動学的人間論』

 小林朋道著、新潮選書、2015年刊。

 動物行動学の著者によれば、この本

「〝死にゆく個体から新生の個体へと、不滅の寄生虫のように長い長い時間をかけて移動し続けてきた遺伝子たちが一時的につくった乗り物〟としてのヒト」や、「ヒトの本来の生息環境である狩猟採集生活へ適応した、その乗り物に特有な性質」を中心に書いたものだ、という。

 だから、「感情や心理を生み出すヒトの脳は、狩猟採集生活という環境の下での生存・繁殖に合致した、かなり偏った性質(クセと言ってもいいだろう)をもつ器官だと思う。そしてその脳のクセは、脳以外の体のつくりや性質と同様に、現代を生きるわれわれでも変わることなく受け継がれている」と。

 そうして、「当然、そんな脳には情報処理の能力にもクセとともに限界もあり、認知できないものは認知することができず、理解することができないものは理解できない」と結論する。

 内容は、その、ヒトの脳のクセにまつわるあれこれ、8つの話しで構成されている。

 なかでも興味深かったのは、「遺伝子はヒトを操るパラサイト(寄生虫)」という話し。
 それによると、ぼくたちが「細胞を構成する一要素」と習い覚えたミトコンドリア、現代の生物学が描き出す正体はすっかり別ものだという。
 「つまり、現在われわれ人間の(ほぼ)すべての細胞内に存在するミトコンドリアは、一生涯を細胞の中で過ごす寄生生物なのである。」

 あの(…といってもボクは実見したことはないが)ミトコンドリアが、ギョウチュウと同じ〝寄生虫〟だといわれると、正直なところ薄気味がわるい。いくらミトコンドリアは<有益>で<害をなす>ギョウチュウとは違う…と言われたって、<虫酸もの>にかわりはない。

 もうひとつオモシロかったのは、人の心理特性にあるといわれる「威嚇顔検知優先性」。「人は、喜怒哀楽、さまざまな表情の顔が並んだ状況の中で、怒った顔を最も早く認知しやすい」のだという。それは、自身の生命を脅かす可能性の高い威嚇顔に対する反応が早いほど生存率が高まるからだ、と。

 これらの話し、つまり、人の脳はいまだにサバンナで狩猟採集生活していたときの記憶にじつは支配されている、という説明は、優れて説得力がある。

 著者は、とても個性的な人だ。
 このごろは、そんな科学者さんたちが多く輩出して、世間と学問との間の壁を取っ払う活動をしてくれるので、ありがたうれしい。
 自分たちだけで分かり合っている…そのテの学者タイプは正直、もはや黴臭いほど古すぎる。

 ところで……
 小林さんはまた、すぐれたフィールド・ワーカーでもある。
 ぼくはそれを、ドキュメンタリーの影像で見た。
 
 冬の寒さ厳しい中国山地の、杉林を好んで棲息する二ホンモモンガたちは、巣穴に杉の葉を運びこみ、噛み砕いた繊維でベッドをつくり子育てをする。
 その愛らしい生態を小林さんたちのチームは、巣箱づくりからはじめて追いかけている。

 つまり、ぼくが小林朋道という動物行動学者を識ったのは二ホンモモンガが先、それから、この人の著書へと興味が移っていったのだった。

 ぼくのモモンガとの出逢いは、北の大地のエゾモモンガから。
 帯広の真鍋庭園でのできごとは、このブログでもすでに二度、記事にしている。
 一度目が、-No.1282- 2017年3月26日。
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 二度目が、-No.1285- 2018年3月29日。
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 それ以来、便りのやりとりがつづく真鍋庭園のN・Mさんから、じつは、この春さき。
 庭園に遊びに来るエゾモモンガとエゾリスの、愛らしいライフ・ショットを送っていただいた。
 (上掲、雪の季節の写真はN・Mさん撮影)
 そのイイとこ…お目にかけて、本日はこれまで。