どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

「唐紙・ふすま」と「エコ・ライフA&M」のこと/ それは『唐紙~千年の模様の美~』から始まった…①

-No.1689
★2018年05月07日(月曜日)
★11.3.11フクシマから → 2615日
★ オリンピックTOKYOまで →  809日

 おはようございます、おげんきよう、<なっつまん>です。 

*4月23日。プロ野球、現在ある広島カープ成長期に活躍した〝鉄人〟衣笠祥雄さんが亡くなった。行年71は戦中派しんがりの世代に属する。背番号「3」は広島カープ永久欠番だけれど、じつは若い頃につけていた背番が「28」で、〝鉄人〟の名は当時の人気マンガ『鉄人28号』にちなむ愛称だった…ことは、知らなかった。それほど〝鉄人〟の名にふさわしい風貌であり体躯であった。長嶋茂雄さんが「ナイスガイ」といって惜しんだ人柄すがすがしく、痛いデッドボール喰らっても「どんまい」の笑顔が忘れられない。そのこころ、「デッドボールはピッチャーの投げそこないとバッターの避けそこないの結果。それで怒ったら自分がバカなんでね」。怪我にもめげない連続試合出場の記録も、「野球が好きだったから出たかっただけ」と。天晴れ。永遠の野球少年。*



◆その昔は「襖障子」だった…「襖」と「障子」

 『唐紙~千年の模様の美~』という番組。
 NHKテレビBSプレミアムで放送があったのは17年春のこと。
 テレビを視聴できる時間がかぎられるぼくは、録画しておいて後で観る習慣で、なかに気になる内容のものは閲覧資料として保存しておく。

 (こんな映像資料のBRディスクが、すでに相当な枚数になり、いちど大整理を敢行-のこされた生涯で読める本はどれほどか?-した書籍に匹敵するほどまでになり、するとじぶんは…つくづつ映像人間だなぁと思うのデス)

 『唐紙~千年の模様の美~』再見はことし、春先のことだった。
 「唐紙」というのは襖〔ふすま〕に貼る紙(加工紙)のこと。

 ちなみに、いまは木工を主に手がけるぼくは、<紙仕事>も好きでする。
 ぼくの肩書のひとつに「エコ・ライフA&M」というのがあって、「A」は「アドバイザー」、「M」は「マスター」。つまり、相談にのって施工もする。

 生活の場、住まいの材料にも化学物質の波が押し寄せる不安を抱いたからだ、が。
 無垢(自然のまま)の木材に好意をよせる人は少なくなかったのに比べると、和紙づかいの建具(襖や障子)に興味をもってくれる人は少なかった、というより、襖や障子そのものが日本の家から姿を消しつつあった。

 すでに昭和の中頃から洋風化が顕著になっていった民間の家づくり、それでも<1軒の家に1間は和室>の考えがしばらくはあったのだけれども、平成の時代になってそれも昔のことになった。
 なにより、主にそれが年寄りのためであったにもかかわらず、じつは、椅子&テーブルにベッドの洋室のほうが年寄にはやさしかったり、核家族化で年寄のいない家が増えたりが大きかった。

 それでも、ときたま、和紙での張り替えを頼まれることがあったのだ、けれども、仕事として比較的やさしい障子に比べると、複雑な手順をふみ用紙代も手間賃も嵩む襖を和紙で「張り替えたい」要望は少なかった(多くの家で襖は張りっぱなしだった)のである。

 そんな噺、いまさらしてみても始まらないだろう、けれども。
 「襖」と「障子」はその昔、「襖障子(または唐紙障子)」と呼ばれてひとつのものだった。付け加えれば、「障子」は中国から来たのだが、「襖」は日本独自のもの。
 「襖障子」は、御所の寝殿の間仕切りとして考案されたのが始まり。「ふすま」は「衾(ふすま=伏す間=寝具・布団のこと)」に由来して、始まりは絹張り…といったら少しは興味をもってもらえるだろうか。

 後、「明かり障子」が別になるカタチで、「襖」「障子」それぞれに独立した間仕切りになって現在にいたっている。

◆「京から紙」と「江戸から紙」

 「ふすま(襖)」は日本独自だけれど、「唐紙」は中国から伝わった。
 伝えたのは大陸から渡来の技術者集団、秦氏

 そこから生まれたのが「京から紙」の流れで、『源氏物語』に代表される平安宮廷文化の雅を巧みに演出。用紙も、越前奉書紙や鳥の子紙といった高級紙だった。
 対して武家文化の「江戸から紙」は、豪奢をはなれて生粋を好む気風から、純楮の「生漉き(ほかの原料を混ぜない)」唐紙が特徴で、俗に「生唐(生漉きの唐紙)」と呼ばれた。

 『唐紙~千年の模様の美~』の唐紙は、いうまでもない、はんなり「京から紙」の世界。その噺は次回②にゆずる、として。
 ぼくが習い覚えたのは、シンプルな趣きの「江戸から紙」。紋様絵付けは木版刷りか更紗型染め(捺染)、粋な江戸小紋調のものが多く、また簡潔な無地系も好まれた。

 襖に用いる「唐紙」というのは、上張り(表張り=仕上げ貼り)のことで、ここにいたるまでに多くの下張り仕事があり、その手間数は「骨縛り」「蓑貼り」「べた貼り」「袋貼り(浮貼り)」「清貼り」と、丁寧なものでは5つもある。

 …しかし…
 ぼくの頼まれ仕事では、精々のところ「袋貼り」くらい。

 夫婦喧嘩の果てか、子どもの悪戯か、はたまた、誰かヨロケた拍子に蹴り破いたか、理由は知らないけれども、ひどいありさまの襖貼り替え…というより早い話が修理で、「組子骨」と呼ばれる障子のような格子状の下地から、一度か二度、貼ったことがあるくらいのものだった。

 下張りから丁寧な仕事をしてみたいと思っても、自宅の襖では、上張りの「唐紙」に意地で上等なのを選ぶのが、せめてものことで。
 下張りから全工程を試してみる気には、とてものことになれなかったのが、フシギといえば不思議。
 同時に、職人の気質〔かたぎ〕、心もちというのを、とくとナットクしたことでもあった……