どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

<東芝>さん提供のテレビ漫画『さざえさん』が消える日

-No.1604-
★2018年02月11日日曜日建国記念の日
★11.3.11フクシマから → 2530日
★ オリンピックTOKYOまで →  894日





◆終身雇用の〝東芝マン〟と、サザエさん漫画の青春と…

 前回、鰻のお話しでは、ぼくの父親とかみさんとが登場したわけです、が。 
 じつはもうひとつ、二人にまつわる話題があったのデス。

 ……………

 昨年も、あれこれ多くのことがあったけれども。
 工業活動の分野では、一流大企業のひとつ「東芝」の蹉跌と挫折、経営再建にも悪戦苦闘するミジメな騒ぎが印象につよい。

 あの騒動の原因が知れ、経営再建へといたる時点で、ぼくが思ったのは(親父さん…愛した社の不始末を知らずに逝ってヨカッタ)だった。

 ぼくの父は、明治43(1910)年の生まれ。
 大学中退の学歴ながら、東芝に入社、終身雇用世代の典型的な社員として定年後の嘱託社員まで勤めあげて平成元(1989)年、行年79歳で人生をおえた。

 愛社精神につらぬかれて生き、他家にくらべ早い時期に購入した家電製品(いまは大手重電3社にかぞえられるが、かつては〝家電の東芝〟として知られ、冷蔵庫・洗濯機・掃除機・電子レンジ・炊飯器など多くの国産第1号製品を生んでいる)はもちろん、すべて「TOSHIBA」製品。安いからといって他社製品を買うようなことは絶えてなかった。

 やがて社会人になったボクが、好みや性能で他社製品に手を伸ばし始めるのを黙って見てはいたけれど、内心おもしろくなかったにちがいない。

 東芝という巨大企業、ぼくはその方面に明るくはないけれど、六代目社長(1965 - 1972)土光敏夫 さんの頃までは真っ当だったと思うのだが、その後、積極経営に転じたあたりからオカシクなって21世紀、原子炉装置世界3大メーカーのひとつにまでなったものの、とどのつまりは<原子力に明るい未来はない>ことを証明するという、皮肉なかたちになった。

 そうして2017年は、「世界の東芝」が、アメリカ最大の繁華街タイムズスクエアに07年から掲げ続けてきた看板広告(新年を迎えるカウントダウン表示板としても知られた)のうちきりで終わった。

 ……………

 鷲田清一京都市立芸術大学学長、哲学者)さんのお話しによれば、「日本の製造文化に翳りが生じてきたのは〝使う〟技が痩せ細ったから」だという。

 ぼくは知らなかったが、「ブリコラージュ(器用仕事)」という言葉があるそうで、その意味するところは「本来はそのために作られたのではない、ありあわせのものを寄せ集め、別のなにかを創る作業」のこと。

 ごく身のまわりのことで言えば、たとえば「まかない料理」がそれであり、子ども遊びでは、小枝を、男の子のちゃんばらでは「刀」がわりに、女の子のままごとでは「箸」がわりにする、いったようなことだ。
 かつては、ふつうに、誰もがやっていた工夫。

 このような工夫や技が痩せ細ると……
 道具を使いこみ、使いこなし、使いきる、ことなしに。
 使いにくくなるとすぐに買い替える、使いにくいものは捨てて省みない。
 行きつく先は「道具は身体の延長」ではなく、ただ「販売される商品」となる。

 そこには究極、使いこなす智慧も、惜しみなくそそがれる工夫も努力も、ない。
 ……と。

 そのことが、いまある東芝の苦境ともつながりがある、というつもりはない、が。
 まったく無縁、とも言えない気がシクシクする。

 終身雇用という働くカタチにしても、たしかにいまの世にはあわないのだろう、が。それをやめにした、そのために、失われたものも小さくないという気がしてならない。

 AI(人工知能)の未来も、そこに人の、少なくとも〝意志〟がありつづけなくなったときはヤバイのではないか。

 …………

 もうひとつ。
 ぼくが、父親と同じ干支(戌)のかみさんと結婚したとき、彼女が持参したなかで記憶にのこるモノのひとつに『サザエさん』の漫画本があった。

 とくにマニアというわけではなかったから、単行本が何冊かのことだった、けれど。それが新約聖書や、全共闘世代のバイブルともいえる高橋和己さんの本と一緒に出てきたのが、ふと、くすぐったいような気分だったことを忘れない。

 テレビでは、「東芝」一社提供の『サザエさん』であった。
 1969(昭和44年)年から、フジテレビ系列で始まった放送は長寿番組として知られ、98(平成10)年に一社提供が終了してからも継続。いまでも、かみさんは日曜になると夕食の準備かたがた、『サザエさん』の画面にひきよせられる、ことになっている。
サザエさん観ながら、明日は出勤だ…と想ったものだったワ」

 なお。
 東芝単独提供のテレビ番組にはほかにドラマ『東芝日曜劇場』、1956(昭和31年)年~2002(平成14)年 、TBSテレビもあった。

 その『サザエさん』番組提供もこの春3月いっぱいで終わる。
 一社提供ではなくなってからも、(サザエさん東芝)と思っている人は、家のかみさんばかりでなく、案外なほどに多い。

 しかし、考えてみれば、その「東芝」さん。
 そもそもが家電からスタートした会社だったのだけれど、いまはその面影もない。

 すでに16年には、いわゆる白物家電事業を中国企業に売却。テレビ・パソコンなど家庭むけ(ふつうの消費者むけ)の事業からも撤退してきており。
 『サザエさん』番組提供の宣伝メリットもない企業実態だった。

 では…これで『サザエさん』番組もオシマイか、というと。
 そうとも限らない、という。

 3月末で、後継スポンサーに交代する、かも知れない、らしい。
 聞けば後継候補に、近ごろマスコミをなにかと騒がせている某美容外科をはじめ、大企業をふくむ幾社かが名乗りを上げているとか…。

 でもね。
 この事態に対する、わが家の正直な反応は。
「もう、いいか…なぁ」
東芝さんのサザエさん…惜しいけど、ここまで…だわよネ」