-No.1545-
★2017年12月14日(木曜日)
★11.3.11フクシマから → 2471日
★ オリンピックTOKYOまで → 953日
◆9月7日(木)、ふと思い立つ…ギア・アップのスウィッチが入る
海峡の朝は、どうしても波濤の向こう〝北の大地〟へと心が先駆ける。
いつでも、そうだ。
連絡船の大間港はすぐそこだ。
…が、このたびは妙に未練心がのこった。
六ケ所村の…いや、下北の未来を担うことになるかもしれない、風力発電の情景。
そのたしかな手ごたえを掴めていない。
きのうは事態の打開に行き詰って、いったん撤退したものの。
あれからずっと、どこかに見おとしがあったような気がしていた。
宿にあった下北半島それぞれの地域の、紹介パンフをめくっているうちに、六ケ所村郷土館が村内の高みにあること知って、きっとコレだと閃いた。
日本という山がちな風土の成り立ちでは、よほどのことがないかぎり、探せば見晴らしの〝高み〟はあるはず。
イカ刺しの歯ごたえコリコリと頬ばりながら、頭は時間計算に余念ない。
ここから六ケ所村まで片道約90km、時間にして2時間ちょい。
往復して、大間港からフェリーに乗るのが14時10分。
(ちょとシンドイけれども、なんとか間に合いそう)
まだ7時半すこし前。
下風呂名物の「メモリアルロード足湯」まで散歩、道端に、可憐に、色鮮やかに、花開いていたコスモスに背中を押された。
よし、行ってこよう。
こころのこりはマイナス、気もちがふさがる。
◆郷土館のある丘から、ついに絶妙の眺望を獲得!
下北郡の風間浦村から上北郡の六ケ所村まで、むつ市を抜け、陸奥湾岸を走り、横浜町から半島の頸を横ぎって…ひたすら走る。
案の定、むつ市内が出勤の車で渋滞気味…といっても、大都会のそれにくらべればさほどのことはないのだけれど、原発事故のような大事があったときのパニック状態を想うと心が冷える。
あとは、まぁ、なんとかスムースに走って、六ケ所村。
ナビの指示に従って〝高み〟を目指す。
六ケ所村は、どちらかといえば下北では平地の多い地勢で、〝高み〟といってもさほど目だつものもない。
しかし、郷土館に近いグラウンドの辺りまで来て、視界が開けた。
スケジュールから割り出され、与えられた滞在時間は少なく、30分かそこら。
だが、ツイていたというか執念が勝ったというか。
風力発電の風車が立ち並ぶ、その向こうに核燃料再処理施設の建物…という構図。
ついでに、グラウンドのアンツーカーをひたむきに走るアスリートの向こうに風車という、(イタダキ!)のワンカットまでモノにできたのだった。
なお、ちなみに、ここで…
◆青森県の風力発電状況を見ておくと
2015(平成27)年度末現在で、総設備容量36万3千763キロワットは全国1位、設置数は229基で2位(1位は北海道289基)という。
もちろん、その半分以上を下北半島地域が占める。
日本は、欧米諸国にくらべると風力利用が進んでおらず、原子力発電のわずか数分の一。
(電力会社が導入に消極的なため、自治体や民間によるプロジェクトが主体というのが現実だからで)
その主な理由は…
①台風に耐える施設コストが高くつくこと
②大量の風車を設置する平地の確保がむずかしいこと
③日本のクリーンエネルギーは初めから太陽光発電重視だったこと
などといわれるが、要はフランスと同じく、国策が原子力発電重視できたからであって、対照的に原子力発電依存からの脱却をはかるアメリカやドイツでは、相対的に風力発電への依存度が増している。
そんな状況下ではあるが、2006年には国土地理院の地図記号に「風力発電所」(下図)が追加されている。
いまはガマン、実力をたくわえて時機を待つとき、かと思われる。
青森県はもちろん、この風力由来の電気エネルギーを、従来の原子力エネルギーと同じく、首都圏の需要に応えるものと考えてはいけない。
〝再生〟可能エネルギーこそ郷土青森県の、ひいては「みちのく」東北地方の〝再生〟に、地産地消での発展を最優先にしなけらばならない。
それというのも、なるほど青森県は風力発電こそ盛んではあるものも、大半が域外からの投資によることだ。これでは、ほんとの地産地消にはならない。
それにしても…そのためにも。
減衰がつきものの電力、最大最後の課題〝蓄電〟の技術開発に、渾身の力を傾けてもらいたいものだと思う。