どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》被災地東北、18次<巡訪>/ ㊲10日目(2)岩泉という大自然の奥懐…龍泉洞  今回のテーマ[つぎのステップにむけて]

-No.1530-
★2017年11月29日(水曜日)
★11.3.11フクシマから → 2456日
★ オリンピックTOKYOまで →  968






◆じっ茶ばっ茶

 龍泉洞という碧水の洞窟がある町として、ぼくはずっと前から岩泉を知っていた。
 が、なかなか訪れるチャンスのないままになっていたのは、ひとつにぼくが暗い穴倉というものを好まないことによっていた。

 《11.3.11》があって後、初期、救命・救急優先とこころえたぼくたちは、義援金などの協力をしながら在京、じっとトキ(じぶんたちボランティアの出番)を待っていた。
 その間に何度か、独自で避難所に救援物資を送れないものか、トライもした。

 2週間くらいしてからだったと思う、クロネコの宅急便だったか「ゆうパック」だったか、岩泉までは届けられる、という朗報があって。
 けれども…くわしく訊ねてみると、「その先の配送に手がつけられない、先方で受けとりに来てもらえれば」ということでガッカリした覚えがある。

 その時点で頭にあった宛先の地は、津波で町長を失った大槌町
 岩泉町からの距離は80km以上である、被災地の避難所にそんな受とりを頼めるわけがない。

 宮古市の北に位置する岩泉町は、沿岸部に小本〔おもと〕の集落を有するものの海岸線は短く、むしろ西へ、北上高地のうねうねとつづく広がりの方が圧倒的におおきい、農林業のウエートが高い土地柄である。

 どうしても津波被害を重点に追いかけ、沿岸部に気をとられてしまう目は、なかなか高地に向かわなかった。
 野田村の道の駅に立ち寄ったとき、そこに「龍泉洞のじっ茶ばっ茶」なる商品を見つけたのが、なにかしらホッとすることであったりした。

 この「じっ茶ばっ茶」は、岩泉産を中心にすべて国産の豆・雑穀類を原料につくられた<雑穀茶>。飲料の渋い色合いが、なんとも爺っちゃ婆っちゃにふさわく思われたものだった……

 というようなわけで、これまで岩泉町にはあまり縁がなかったのだ、が。
 昨夏8月の台風被害のおおきかったことが、ぼくの意識をもかえた。
 龍泉洞が甚大な被害を受けたことも、おおいに影響した。
 とにかく訪れてみよう、実地に行って見なければ分からない。

 北上高地のことが知りたくなった。
 北上高地がなければ、三陸リアス式海岸も成立していなかったからである。

 そんなこんなで、今年はじめて、海辺から小本川を遡って西へ、岩泉町の奥を目指す。
 道は間もなく山峡に入り、途中、川筋に数ヶ所の護岸工事現場を見る。昨年の台風、豪雨禍の傷はまだ癒えていなかった。

 支流の流れに沿ってしばらく、長閑な山里の風景のなかに、大きな駐車場に土産物店のかずかず<観光地>が出現する。
 ウィークデーにもかかわらず、訪れる客の数は少なからず、天然記念物・日本三大鍾乳洞の人気はたしたものだ。
 これには、もちろん、半年ぶりにこの春、台風被害(入洞閉鎖)から無事、復活した話題も手伝っている。

 (いま、何気なしに、ウィークデーにもかかわらず…という表現を使ったけれど、考えてみれば職業によって休日の多様化した現在に、ウィークデーも週末もない。これからは、ツアー客はなかったにもかかわらず…とか、なにかしら別な表現を模索することになる)

 ……………

 龍泉洞の洞内には、冷涼の気。
 鍾乳洞にかぎらず、洞窟というのはいっぱんに思ったより(夏でも)涼しく、空気がこもってもいないのは、風が通り、水が流れているからだ、けれども。
 それにしても龍泉洞の洞内を流れる水音は高く、流量も激しいほど。

 閉所恐怖症の気味があり、暗い穴倉の好きでないぼくには、これまで、多くはなかった洞窟見学のチャンス。
 それにしても、すごい、この水量。毎秒1100~1500リットルという。
 それだけの水量を湧き出させているのが、やっぱり北上高地

 そうして。
 この澄みきった水のすべてが、濁水になりはててしまったときの惨状もまた想うに余りある。

 現在わかっているだけでも、洞内の総延長は3600m、うち公開されているのが700m。
 いまも、地下の穴倉深く、つづけられている調査で予測される総延長は5000m以上であろうといわれる。

 ボクが、生物の専門家だったらここで、天然記念物のコウモリについて蘊蓄を傾けるところ。
 また地質の学者なら、岩石のひとつひとつを克明に解説しながら、遠く太古にまでさかのぼる龍泉洞の歴史にまで思いを馳せるところだろう、が。

 俗界の人間学が専門(?)のボク。
 ここでは、おとなしく観光客でいるしかなくて。

 起伏に富んだ洞内の高低差180mを鉄梯子の階段を登ったり下りたり。
 8つあるという地底湖(最大水深は第3地底湖の98m)の「ドラゴンブルー」と愛称される神韻の碧緑と、その変幻とを、写真映像でお伝えるほかない……