どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

《11.3.11》福島巡礼2015夏⑥カエルの詩人と川内村/すばらしい居住空間を偲ばせる天山文庫

-No.0685-
★2015年08月07日(金曜日)
★《3.11》フクシマから → 1611日
    (高倉健没から →  270日
★オリンピック東京まで → 1813日





◆飲めや踊れの天山祭り

 カエルの詩人、草野心平川内村のことは聞いていた。
 けれども、訪れる縁がないままにすぎてきた。

 ぼくは、オノマトペ擬声語)表現の達人にして、酒仙といった風情の詩人が好きでもあった。
 けれども、あの《11.3.11》があってからの川内村は、訪れても、とてもとても、そんな気分になれはしなかった。

 この夏7月11日に、心平を偲ぶ天山祭りのあったことが新聞に載って、心誘われた。
 50回記念の祭りは、心平の蔵書を納めた天山文庫の庭、”十三夜の池”の畔で、飲めや踊れの賑やかな宴であった…と。

 訪れた天山文庫は、村役場からほど遠からぬ緑の森中。
 池に面した南と東の壁がぶちぬきに開放された1階座敷、2階中央の書斎からも池の見透しがよい造りに、カエルの詩人らしさが横溢して。これほどの文化財を埋もれさせておくのは惜しい。
 被災地支援の福島ツアーを企画する旅行社は、こういう所へこそ客を誘うべきだろう。

 草野心平は、明治36(1903)年に現在のいわき市生まれ。
 モリアオガエルの生息地を教えてほしい、という心平さんの新聞記事を読んだ村民の招きに応えたのが縁で、川内村との交流がはじまった。

 モリアオガエルは、アマガエルに似た小型のカエルで樹上に棲み、池などの水面に張り出した枝や葉に、丸い形のハンペンのような卵塊を産む。
 卵から孵ったオタマジャクシは、水中に落ちる仕組みになっている。
 ぼくも、東伊豆町シラヌタの池で珍しい卵塊にお目にかかっことがあるけれど…。
 川内村には天然記念物の繁殖地、平伏沼〔へぶすぬま〕がある。
 ぼくの経験からしても、そこは人里離れた幽邃な環境であろうことが察せられる。

 とまれ、こうして川内村と親交を深めていった心平さんは、毎年のように村を訪れては滞在、やがて名誉村民になり、お礼に蔵書を村に寄贈。
 村人は労働奉仕で、心平さんが村に棲む庵、天山文庫を建てた。

 心平さん、村の夜はみずから「白夜」と名づけたどぶろくを愛して呑み、村の小・中学校の校歌をを作詞、運動会や祭りにもすすんで参加。天山祭りを発起、『天山甚句』までつくっている。
 心平さんが(昭和41年)はじめた祭りが、彼の没後も永々とつづいて今年は50回というわけだった。

 天山文庫に隣接する阿武隈民藝館に、心平さんの資料がまとめて展示され、彼の「Bar学校」も登場、酒仙のふんいき、遺憾なく発露されている。
 このたびの川内村訪問は、これで存分だった。
 川内村のそこここには、いま「かえる かわうち」の旗じるしが、復興と再生の声をあげていた。