どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

旧江戸川の河口、東京湾近くの水防事業/     右岸は葛西臨海公園、左岸はディズニーランド

-No.0420-
★2014年11月15日(土曜日)
★《3.11》フクシマから → 1346日
    (高倉健没から →    5日)
★オリンピック東京まで → 2078日






◆“命山”を造るか…それとも“首都移転”か

 隅田川の白髭西地区を訪れたおなじ日、江戸川区の旧江戸川、河口に近い南葛西五丁目地区にも脚を伸ばして見た。こちらは「緩傾斜型堤防」である。
 河川の大きさ、流量ともに墨田川の方が大きい、けれども、水災害の脅威となれば、こちらの方が遥かに大きかろう。

 荒川・中川・新中川・江戸川・旧江戸川、5つの川と東京湾の海に囲まれた“ゼロメートル地帯江戸川区の低平さは、地下鉄東西線が高架になって走る車窓からも明瞭、歴然。
 ここで水難に遭ったら(逃げ場がないな)、余所者にはそれだけでも空怖ろしいような…。

 東京都東端の江戸川区は人口およそ66万。 区内の7割が“ゼロメートル地帯”にあり、「水害との闘いの歴史」と広報にも記されているほどなのだ。
 一般の堤防高の約30倍という幅をもつ「スーパー堤防」が欲しいのは、むしろこちらの方だろうと思うのだが。
 北の(区内)上流部、小岩のあたりでは反対運動が根強いという。
 
 東西線葛西駅からバスで南葛西へ、「なぎさ公園」を抜けて川岸に立てば、すぐ向う岸は千葉県浦安市であった。
 防潮の護岸、後背の家並みなど、風景すべてが(近代化の波にもまれながらも)“下町”風情。ここらに較べたら隅田川界隈は“都心”に思える。

 釣り人が黙然と川面に糸を垂れる姿を眼下に、堤防上を歩きながら想う。
 河川という水の流れにかわりはなくても、そのひと筋ひと筋の表情はそれぞれにことなる。
 それが個性というものだろう、個性を無視しては行いに魂が入らないわけだが、人は(ことに上の立場に立つ者ほど)ひとつのカタチをすべてに押しつけたがる、早漏のごとき醜態をさらしてまでコトを急ぐ。

 『首都水没』の著者、土屋信行さんは「スーパー堤防は“命山”だ」と訴える。
 ぼくは、現地に立って眺めて、見えない遠くまで見渡して、てくてく歩きまわって、(それはそれでよかろう)と思う。
 (静岡県遠州灘の“命山”については、2013年11月01日「(イザどうする…)気にかけるきっかけ“命山”」の記事に既報)
http://blog.hatena.ne.jp/sashimi-fish1/draft-scat.hatenablog.com/edit?entry=12921228815711513034

 「スーパー堤防」を避難場所(防災コア)とする防災計画も、わるくない。

 「とびとびで繋がらない堤防」に反対する意見もあるようだが、それよりも、大堤防整備のためには「住民を強制的に立ち退かせ」、「整備後に戻るときには自前で家屋を建てろ」という、無茶な進め方のほうが問題だろう。
 
 トコロドコロ、それぞれに〈異なる事情にあわせるフレキシビリティー〉を、行政は、〈いついかなるときにも忘れない〉ことが原点だ。
 目標達成を焦ってもコトは成らないし、成るようにしか成らないコトもある。
 高い目標を見失うことなく、できることは目の前の瑣事、ひとつひとつを確実に片づけてほしい。

 考えてみれば「スーパー堤防」は、低平地に開発された大都会ならではの構造といえる。
 《3.11》の被災地沿岸には似合わないし、その必要もなく、またそんなカネもかけられまい。

 (なぜ…こんなところを、わざわざ選んだのか…)
 秀吉の大阪も家康の江戸(東京)も、水難に弱いことは分かっていたわけで、結局は、その損失よりも水運などの利益の方を重んじて、不安や先人の遺訓を忘れようとした。

 時代は変わった…ろうか。
 変わったのであれば、「やはり間違っていた」のであれば、首都はいさぎよく武蔵野台地まで撤退すべし、あるいは“首都移転”しかないだろう。

 しかし……。
 現実にはそれは、日本沈没か、地球破滅か、人類滅亡かするまで、ありえないだろう。

 河口の湾岸道路「舞浜大橋」が近くなるにつれ、対岸、ディズニーランドの夢の城が大きくなってくる。こちら岸はまもなく「葛西臨海公園」、橋の向うは東京湾の海。
 その東京湾で、同じころ行われた海底・海水の放射能汚染調査では、沖合の汚染は低くなっていたものの、荒川など河川の河口周辺にはまだ、かなり高濃度の汚染地帯、放射性セシウムホットスポットがのこっていた、という。

 流域に住む方々には、「スーパー堤防」など水防整備計画ばかりでなく、東京湾の水質というテーマにも、(やってくるオリンピックイヤーに向けて)関心を持ちつづけてほしいものだと思う。