どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

過密都市の水防対策、隅田川の「スーパー堤防」/ 賛否あるけれど…これはこれでボクはいいと思う

-No.0419-
★2014年11月14日(金曜日)
★《3.11》フクシマから → 1345日
    (高倉健没から →    4日)
★オリンピック東京まで → 2079日

*フィギュア・スケートの村主章枝さんが引退を表明した。オリンピックのメダルはなかったけれど、ずっと気になる存在でありつづけた*





◆隅田川の「スーパー堤防」を歩いてみた

 『首都水没』(土屋信行著、文春新書)を読んだ。
 土屋さんは、河川事業などの災害対策を中心に長年たずさわってきた元東京都職員。《3.11》後は、小まわりのきいた事業計画で注目される宮城県女川町の復興推進に取り組んでいる。

 このブログの〈No.415〉11月10日付け地下水脈図を添えた「水の都TOKYO」の記事
http://blog.hatena.ne.jp/sashimi-fish1/draft-scat.hatenablog.com/edit?entry=8454420450072515885
を想いだしてほしい。
 首都東京の、ことにも下町の、海抜0メートル地帯は、洪水・高潮などの自然災害があればいつ水没してもおかしくない超危険ゾーンだ。

 現状の、やむをえず造成されたにすぎない薄っぺらな“カミソリ堤防”では、いざという場合にてんで覚束ないだろうことは、「水上バス」に乗って見ればよくわかる。
 この危機的状況を回避し、住民の生命・財産を守るには「スーパー堤防」整備が欠かせない、とするのが、土屋さんのスタンスだ。

 いっぽうで新聞は、巨費濫費で実効性も不確かな、一旦は(かつて民主党政権時代に無駄な事業と指摘され)廃止されたはずの“ゾンビ事業”復活と告げる。
 いったい、どっちがどうなのか…。
 こういうことは、わが目でシッカリ確かめるほかない。

 いま騒がれているのは江戸川区、江戸川沿いの小岩あたりに、これから動きだす事業なのだが…。
 まずは、これまでにすでに完成している「スーパー堤防」を実地に見聞して知ること。

 ぼくは秋の一日、隅田川の白髭西地区(荒川区)を訪ねた。
 浅草から乗ったタクシーの運転手さんが、そのあたりの高層住宅に住いのある方で。
「はぃ、いい堤防ができてよかったですよ、でもね、それでも水の溢れる怖れがないわけじゃない、そんときは3階くらいまで浸水するからって…ね、うち3階なのよ、それでさ、万が一のときのためには上の階の人と仲良くしとかなきゃいけないっての、たいへんですよ、無愛想な人にも挨拶なんかしまくってさぁ…」
 最近はお役所の対応、担当者の説明なんかにも、杓子定規ではない、それなりの進歩は見られる感があった。

 白髭橋から上流に向かって歩く。
 堤防上とい視界のう開けたところに出ると、しぜん、背筋がシャンと伸びる。
 休日の堤防上は、ジョガーやウォーカーの姿がめだち、運動不足になりがちな都会人の健康づくりに一役かっている。
 なにげなしに誘われる、というのはいいもんだ。
 アスファルトジャングルを脱け出してひと息つく、川のある、空の大きく広がる風景には、やはり心和ませるものがある。

 隅田川の白髭橋より上流は、Uの字を横に寝かせた格好に大きく曲流しており、白髭西地区の堤防整備はこの曲流部対策、前後の「緩傾斜型堤防」区間に挟まれるカタチで、「スーパー堤防」区間が曲流部の頂点付近をカバーしている。

 「緩傾斜型堤防」というのは、まぁ本来なら「これが普通の堤防」であろう。
 一段低い位置にある川岸の旧防潮堤(カミソリ堤防)から、土のマウンドを高く盛り上げて堤防上に上がり、反対側へも同じ緩傾斜で下っているもの。
 堤防の幅はおよそ20メートル弱。大きな洪水がこの堤防を越えてしまえば、内側といえども浸水を免れない。
 さっきの運転手さんの住いは、どうやら緩傾斜堤防区間にあるらしい。

 歩くうちに「スーパー堤防」区間に入り、足もとにも目の前にも、明らかに快濶な空間が開けるのでそれとわかる。
 「スーパー堤防」は「緩傾斜型堤防」をさらに大規模に、いわば堤防の裾野を広げ、内側にもかなりな範囲にわたって盛土部分を設ける。川沿いの道路は堤防下をトンネルで潜り、広々とした堤防上は園地(災害時は避難所)として整備される。

 近づく水神大橋のあたりには、汐入公園のぜいたくな緑がいっぱい。
 家族連れのグループなどがディキャンプを楽しんだりしており、振り返れば向うにはスカイツリーのある風景、堤防上の歩道は脚にやさしいアンツーカー
 たしかに(かなりのカネはかかっている)けれども、(それだけのことはあるな)というのが正直な感想。ただでさえ苛立ちつのるばかりの都会生活には、なによりの「日ごろの気もちの安らぎは」高く評価されていい。

 鐘ヶ淵のむかし、いまいずこ…。

 隅田川の曲流する頂点あたりからは、旧綾瀬川の水路が、隣接して流れる荒川へと繋がっている。
 この風景には、「水上バス」からの見覚えがあった。川水の上から見る“カミソリ堤防”の老朽化して脆弱そうな不安感を想いだす。
 そうして、ふと気になったのは向う岸の葛飾区側、あっちの方が洪水の心配は大きいはずではなかろうか…。
 (計画がないのか、これから先の計画か)

 千住汐入大橋まで歩いて、引き返す。
 これだけでも、充分なくらいのウォーキング距離だった。