どこゆきカウントダウンー2020ー

2020年7月24日、東京オリンピック開会のファンファーレが鳴りわたるとき…には、《3.11》震災大津波からの復興を讃える高らかな大合唱が付いていてほしい。

新江ノ島水族館の3Dプロジェクションマッピング/      観音崎ホテル2泊3日の休息タイム③

-No.0411-
★2014年11月06日(木曜日)
★《3.11》フクシマから → 1337日
★オリンピック東京まで → 2087日









◆ハイテク「幻燈」の世界とクラゲ

 観音崎からの帰路、江の島に寄り道。
 葉山、逗子、鎌倉とつづく海岸線は、人気のレジャースポットとはいいながら、いつ通っても(駐車スペースの確保にも手を焼くほど)狭く、背後に急傾斜の崖が迫って、とても安気ではいられない。
 海岸線の国道134号など、トンネル出入り口の真上に住宅がしがみついているのを見るとゾッと寒気がして、ヒトが培ってきた文明とはナニか、考えると混沌としてくる。

 その“余地”のほとんどない海岸線に、いま、懸命の防災設備工事が“ぎりぎり”に“きわどく”進められていた。

 寄り道は、新江ノ島水族館
 江の島というところ、じつはボクの、ガキの頃のネイチャーフィールド。母方の実家が藤沢にあったので、夏休みの楽しみは海水浴に江の島へ連れて行ってもらうこと。
 磯遊びも、小舟遊びも、ここで覚えた。

 その頃から、前身の「江の島水族館」はあって(1952・昭和27年開館)、何度か入場料を払ってもらったのだけれど、ざんねんながらボクには、外の生きたフィールドの方がはるかに魅力的。アシカのショーなんかより、磯のタイドプールにカニや小魚を追いかけるほうがぜんぜんオモシロかった。

 そんなこともあって、ぼくが“水族”に深い興味を抱くようになってからも、江の島の水族館に足が向くことはなかったのだった。

 「ナイトアクアリウム」というイベントに魅かれて、成長とともに足が遠のいていた親元へ、いくらかくすぐったい感もある里帰り気分。

 ショータイムの前に、館内を観てまわる。週末“花金”のせいかどうか、人出が多い、子連れが多い、学生が多い、カップルも多くて…しぜん華やいでもいる。
 水族館が、変わった、進化した。
 いまや、オシャレに密着できるデートスポットだ。
 ほとんど「昔の水族館とは別物」、テーマパーク化してきている、といってもいい。

 ここでもいまどき、人気いちばんの展示はクラゲで、彼らの“癒しの浮遊”のために多くの展示スペースがさかれている。
 劇場スタイルの水槽空間「クラゲファンタジーホール」には、若い女性客を中心にたくさんの人たちが「ナイトアクアリウム」が始まるのを待っていた。

 仕掛けは「3Dプロジェクションマッピング」という、ブームの話題と人気を集める特殊視覚映像演出装置。
 いってみれば近未来感覚の“幻燈”ショーだが、映し出されるのが限られた範囲のスクリーンではなく、その場の天井から壁から床まで、すべての空間をまきこんだ演出にある。

 午後5時から始まった「ナイトアクアリウム」、「クラゲファンタジーホール」での「海月の宇宙」は、映像と音の広がりで観客を幻想世界へと誘い、みごとにハートをつかんで魅了した。
 およそ10分の上映がアッという間で、観終わっても観客の表情はどこか夢見ごこち。
 
 つづいて相模湾ゾーン大水槽での「深海世界のオアシス」。
 「ウェルカムマッピング」「生命の波」から水族館空間と海中世界との垣根がとりはらわれ、「海中生物の戯れ」から「深海世界のオアシス」へと、観客はカタズを呑んで惹きこまれていく。

 さすがウマイもんだ、拍手喝采!

 そうして、さて……。

 映像イベントから解放されて、あらためて見る水族館。
 どこもかしこも、なぜか、現実感がなくなっていた。すべてが蜃気楼かなにかのように、手をだせば消えて無くなりそうだった。

 「バーチャル・リアリティー」が注目されてから、すでに久しい。

 演出としては、じつに素晴らしい視覚効果ながら、こうした仮想空間に馴染みきってしまうと、いざ現実に立ち向かったときには、どうにも対処できないであろう怖さがある。
 ナゼって。
 いま、無邪気に、夢中で水槽のなかを覗きこむ子どもたちには、境の透明な仕切りさえほとんど意識されていない、からだ。

 見ごたえのある巨大水槽ばやりのいま、なにか異変があって水槽が壊れても、現代人はきっとただ驚愕の目を見張るばかり、一人も逃げだせないに違いない。

 水族館から表に出ると、江の島海岸西浜の夕焼けが、
 「オレも、オマエも、生きてるじゃん」
 思わず息を呑むほどに衝撃的であった。